CoCシナリオ「しゅくだい、てつだって!」

!!!注意!!!

このページはCoC「しゅくだい、てつだって!」のネタバレがあります。
概要のみ見たい方は前のページをどうぞ。
以降KP向けの内容です。

KP向け簡易概要

神話的なホラーはほぼ皆無の、
少年との一時をのんびりと楽しみながらSANを回復するのがコンセプトのシナリオです。
それ以外はとくに決まっているところもないので、遊びやすいよう回してください。

構成上、ほとんどアドリブになると思いますが、
可能な限り少年との一時を楽しめるよう提案は受け入れてあげてください、
困ってたら適当にKP側から「これしてみたらどう?」と誘導してあげてください。

※当シナリオに記載の引用箇所はすべて『クトゥルフ神話TRPG』から引用したものであり、XXページから引用したものは文字表記省略のためはすべて(ルルブp.XX)と表記されています。

背景

イスの偉大なる種族のひとり(以下イス人)が、たまたまとある少年に精神交換をしたのがことの始まりである。
この小さい生命体と精神交換してみたのはいいものの、なんとまあ知識が皆無に等しい!
でもせっかく精神交換したのにまたやり直すのもどことなくプライド[1] が許さない
意地でもこの生命体からなんとかしてでも知識を得なくては!
というわけでこのイス人は自分のプライドに従い、少年の精神に居座っているという現状だ[2]。

しばらく少年として過ごしてわかったことがあった。
ひとつ、ほとんど大した知識は持っていないが、興味のあるもの関してはスポンジのように吸収していく。
もうひとつ、子どもというだけで好奇心などをちらつかせれば
大人はたいていなんでも教えてくれる!ということだ!

これは・・・自身の知識回収に使えるのではないか?
そう思ったイス人は愛らしい少年の身なりで宿題と称したり、好奇心をちらつかせたりしつつ
周りの大人達からさまざまな研究に関する知識をもらいまくっていた。
親や親戚からはあらかた知識に関して聞きまくったなぁ、他に誰か当てがないだろうか、と考えていた所
今度はたまたま帰省などで帰ってきていた探索者の存在を知る。
よしちょうどいい、彼からも知識を回収しよう・・・と近づくのが今回の背景である。

探索者についてはwin-winな立場だとイス人は考えているため探索者を脅かしたりするなどして、不用意に正気を失わせようとすることはない[3]。
むしろイス人の心に響けば響くほどあなたも心が満たされ、多くの正気度を得ることができるのかもしれない。

[1] イスの偉大なる種族はその時代を研究するためにのっとった身体に5年ほどとどまる(ルルブp.167)というプライドが彼にはあったようだ。
[2] イスの偉大なる種族は知性を基準に精神交換をしているようだ(ルルブp.166)がこのイス人は少々おっちょこちょいだったか、あるいはこの少年に何かしらの知性を感じ取ったのだろう。
[3] イスの偉大なる種族は社会主義的で基本的には争いごとはめったに起こさない!(ルルブp.166)

NPC情報

少年

少女でも可、名前は適当に決めていいです。
デフォルト名は「田中善郎」

表情報:(情報として載せてもいいし、聞かれたときに喋らせても良い、あまり重要ではない)
小学2年生、好奇心旺盛
学校で自由なテーマの宿題(自由研究)を課せられており
やるならてってーてきにやりたい、といろんなひとに聞き込みまくっているようだ。
あと昆虫博士らしい
(このあたりはKPの好きに変えていい)

裏情報:
イス人である。
たまたまこの少年の精神と入れ替わってしまった(背景参照)
少年の姿で、好奇心旺盛をちらつかせたらなんでも周りのおとなが教えてくれるらしい
ということを覚えてしまい探索者に近づく
知らないことならなんでも喜ぶので、別に宿題として提出できないような内容を教えられても喜ぶ。

以下探索者の行動によっては登場するかもしれないキャラであるが参考までに。
基本KPとPL同士でのアドリブかつノリ進行でどうぞ。

もし立ち絵が欲しい場合はこちらを使ってもらっても大丈夫です。

両親

優しく少年を見守るわりと放任主義のひとたち。
話を聞いたらここ最近は勉学に意欲的になってなにか目覚めたのだろうか⋯?と不思議に思ってはいる。
まあ別に悪いことではないし、少年にはお兄さん、お姉さんたちには迷惑にならないようにね、とだけ言うだろう。

親戚のモブとか

話をきけば少年は好奇心旺盛らしく、
俺もこってり絞られたよ、とわははする。みんな気がいいひとたちだ。

(とりあえず皆少年のことは微塵も気にしてない、と思えば大丈夫です。)

補足情報

探索者との関係性

どのような出会い方でもいいが、あまり会話したことがないというのが基本。
たとえば「たまたま帰ったとき、自治会に駆り出され、そのとき挨拶した」とか
「迷子になっているところを助けた」etc.

もともと少年を知っているようにしたい場合はそのようにして問題はない。
その場合<アイデア>成功で
「こんな好奇心に満ちた少年だっただろうか?と不思議に思う」
という情報を出してもいい。
しかし、このシナリオは疑心暗鬼を目的としておらず、
少年と穏やかにひとときを過ごすことでSANを回復させるシナリオなので、する必要はない。
(少しでもホラー要素を出したいというKPは別にしてもいい)

呼び方について

探索者のことは「おにいちゃん」「おねえちゃん」とか
探索者(あるいはPL)の心を惹くような呼び方にするといいだろう

少年について怪しむ場合

少年を探ったところで何もでては来ないが、クトゥルフ神話技能に成功したら
「どこか少年とすると違和感を覚える、もともとは別の誰かだったのではないか?」
「しかし、他のいままで見てきた神話生物とは違い、悪意は感じない」
とか適当書いても良いし、
きっぱり「イスの偉大なる種族に少年は精神を則られているようだ、害意はなさそうだけど」
とか伝えても支障はない

本編

以下本編です。
流れは

  1. 少年との出会い
  2. 少年からのお願い
  3. よっしゃ手伝うぞ!

という感じです。手伝うか手伝わないかで、aかbのルートに行きます。

1. 少年との出会い

実家で少年に会う場面です。
以下に描写例を載せますが、あくまで導入例なので、素麺を食べている必要はないです。
アイスでもいいし、冬のかまくらでまったりしててもいいです。

導入描写例:

田舎に帰った探索者の帰省最終日、
夕方には帰ろうとぼんやり実家で素麺を食っていた。
自分で作らないで食べるそうめんは、実に上手い。ずるずる。
そうやって昼のぐうたらを堪能していると。
どたどたどた、という小さな足音があなたのほうに近づいてくる。

「お兄ちゃん(お姉ちゃん)宿題手伝って!」
という少年(少女)の声があなたの耳にはいった。

適当に少年を少女に入れ替えてもOK、
とりあえず小学生が宿題に忙しそうなシーズンで、
少年と探索者が出会っていろいろできる感じにすれば問題ないです
KPさんとPLさんでわはは決めましょう

2.「少年からのお願い」

どうやら少年は自由研究の課題のアイデア部分に困っているらしい。
宿題のアイデア出しに付き合ってもらえないかとお願いする少年の場面となる。
少年のRPは以降、できるかぎり、こどもらしくあざとい感じにRPするとよい。

描写例:

彼は近所に住んでいる少年であることを思い出すだろう。
帰省したときにたまたま実家の近所で顔をちらっと見たことがある、ようなきがする。
あのときは挨拶程度ぐらいしかした記憶がないが、どうしたのだろう?
少年はあなたのほうにとことこと近づき、
少年
「えっとね、お兄ちゃん(お姉ちゃん)に、おねがいがあるの!」
と眉をさげこう告げるだろう。
少年
「ボク宿題やっててね、だいたい終わったんだけど、どうしても自由研究のテーマだけいまいちピンと来なくって」
「おにいちゃん、○○(仕事とか学校とか)でなにかしてるでしょ?なにかボクに教えてほしいんだ!」
「自由研究のヒントになるかなぁって思って」
と尋ねてくる。期待に満ちた顔だ。

とにかく少年は探索者になにかしてほしいようであることをPLに伝えること。
なんとかしてやってほしいようで、探索者が訝しむようであれば、質問にもだいたい答えてくれる。
探索者のやる気を削いだり、できないのではないか、と思わせないように答えるといいだろう。

質問とそれに対する返答の例

Q. 自由研究ってなんでもいいの?
少年
「なんでもいいよ!隣のクラスのミカコちゃんはいろんな料理作ってそのレシピ作ってたし、」
「ムラタカくんはむらの宣伝ポスターとか作ってた!」
「ボクもね、去年はむらにある昆虫たっくさん集めて図鑑にしたんだ!」
両手をいっぱい広げて図鑑を表しているのだろうか?自慢げに語るだろう。

Q. ここでやるの?
少年
「ここでできないならお外に言ってもいいし!図書館もあるからお勉強とかでもいいよ!」
ぐいぐい...と上目遣いであなたの服の袖をひっぱってくる。

Q. ほんとに自由研究ってほんとー?
少年「ほんとだよ!!!」
頬をぷぅっと膨らませる

万が一少年の考えていることが知りたいなどと<心理学>を所望した場合は
<心理学>が可能である。

<心理学>成功

どうやら自由研究ではないようだが、なにか知りたいという気持ちは本当のようだ。
知りたいという気持ちで満たされており、それ以外考えてないようにみえる。
少年「どうしたのおにいちゃん?」
見つめられていることに気づいたのか困惑した表情をする。

などのように「知りたい!」という気持ちを全面に出して、悪さしようと思ってないことをアピールしよう。
じっと少年は見つめられて困惑したような態度をとるが、気にしてないようだ。
(少年は偉大なる種族であるイス人であるため、<心理学>をふっかけられたことは内心気づいているがあまり気にしない)

ただし、探索者は寄宿先などに戻る必要があり、
あと数時間ぐらいなら付き合えるかな⋯⋯と時計をみることになります。

本編 3.「よっしゃ手伝うぞ!」を進めてください

どうしても少年の頼みを聞かなかった場合終盤「a. 少年の頼みを聞かなかった」へと行きます。

3.「よっしゃ手伝うぞ!」

とにかくお兄ちゃんが知っていることなんでもいいから教えて欲しい!
と探索者を引きずり回すパートとなっており、自由にやらせていい
少年曰く、戦闘技能でも、知識技能でも、なんでもかまわないと言うでしょう。
もしPLがすることに困っている場合は、
少年
「おじちゃん(親戚のおじさんとか)からね、おにいちゃんは○○が得意だと聞いたよ~教えて(見せて)!」
とPCのCSを見て誘導したらよい

だいたい技能ロールを3-5回ぐらい場面ほど、判定トライするぐらいで回すといいでしょう。
技能は重複させてもいいですし、まんべんなく別のやってもいいです。
基本的には探索者が持っている技能を想定してますが、もちろんステータス*5で判定していいです。
(具体的にしたいことがあるけど該当技能がない、ってときはステータスと臨機応変にどうぞ)
少年は広い知識も深い知識も興味をもって見てくれます
回復させたい量によっては判定回数を増やしたり、成功値を大きくしても良い

回復量は最後のお礼として報酬に出すので、KPは「C/成功/失敗」の数を記録してください。
組み合わせで判定した場合はそれぞれカウントします。
ここで失敗してもPLが希望すれば数回振ってもよいこととしますが、
3回ぐらい失敗したら先に進めた方がカウントしやすいでしょう。
(細かい指定はしないのでKP判断に委ねます)

別にクローズドでもないので場所を移動しても良い。
とくに決まりはないのでPLがほしいと思ったものを生やしていい。

以下は実家周辺の場所の例である。

- 実家(開始時点はここ)
- 少年の家
- 公園
- 図書館
- 駄菓子屋(コンビニ)
- デパート (スーパー)

適当に少年との行動が終わったら
終盤「b. 少年の頼みを聞いた」へと行きます。

PL説明用テキスト

システムがわかりづらいかな、と思ったら
共有メモなどにこれを貼って説明するといいかもしれません

★ しゅくだいのてつだいかた

少年に宿題のお手伝いとして教えてあげたら喜びそうなことをしてあげましょう!
ゲーム内時間としては開始が午後1時、あなたが宿泊先に帰る夕方〜夜頃まで、
だいたい5回分ほど(時間で調整可)見せてあげることができます。

少年は切羽詰まっているようで、なんでも体験したりして見てみたいらしい。
適当にこじつけて見せてあげましょう。
例:
<ナイフ>でりんごを切るのをみせる、体験させる。
<武道>で少年に武道のやり方を教える。
<天文学>で星を見に行き、少年に天文について教える。
<図書館>でものを一緒に調べて教えたりする。
等

成功しても失敗しても進行自体に影響はありません。
場所の移動も遠くでなければ少年を連れて移動してもよいでしょう。

では少年のお手伝い、がんばってくださいませ。

エンディング

a. 少年の頼みを聞かなかった

あまりこちらに行かないとは思いたいですが、
そういう行動を選ぶ探索者もいるでしょう。
SAN回復量が1d3だけとなってしまうので、回復させたい心優しいKPは気合でこのルートに行かないよう頑張ってください。

描写例:

少年「そうか、残念....」
と少年はうつむいて、とぼとぼとあなたのもとを去る。

あなたはそのまま、実家をでて寄宿先へと帰っていくでしょう。

特になんということのない休日だった。たまにはこういうひと時も良い。
またあなたは忙しい日常へと戻っていく。

b. 少年の頼みを聞いた

気づいたら夕方~夜になっており、帰る時間になります、
少年を送り届け少し心満たされた気持ちになりながら、探索者はまた日常へと戻っていくでしょう。

KPさんで適当に描写してください。
なんもないのは雑なので描写例を下に書いときます
状況的にはどっかに出かけたのを想定として書いているので、
家からでてない場合は少年が家から連れ出したりとか適当に改変してってください

描写例:

気づいたら、すでに夕暮れとなっており、辺りも暗くなっていた。
もう帰らねば明日に支障をきたすだろうし、少年の両親も気にするだろう。
そう考えたあなたは少年をおうちまで送り届けることにする。
帰る途中の河原で
少年
「えへへ、おにいちゃん、ありがとう!」
とくるりと振り返って笑う少年の姿に、少しだけ心が満たされるかもしれない。

(【正気度が回復しそうな描写】:以下参照)

少年を連れて帰り、あなたは少年に手を振って別れを告げるだろう。
その合間、玄関の扉で姿が見えなくなるまで少年は手を振っていた。
その姿を見た後、あなたは実家から荷物を持っていきそして寄宿先へと帰る。

特になんということのない休日
あなたは少し好奇心旺盛な少年との一時を思い出しながら、
たまにはこういうことも悪くないかもしれないと
また忙しい日常へと戻っていくのであろう。

【正気度が回復しそうな描写】では
少し正気度が回復しそうな(?)描写を入れても良い。
以下参考に2つほど掲載する。

例1: 花火

その少年の後ろで花火がバーン、と打ち上がる。
少年
「わあ、そうだった、お母さんが近くで花火大会があるって言ってたんだった。」
「綺麗だね!お兄ちゃんに見せれて良かった~!」
打ち上がる花火の光に照らされつつ、少年は君に向かって嬉しそうに言った。
綺麗に打ち上がる花火を眺めながら、あなたたちは一緒に手を繋いで家路へと向かう。

例2:ホタル

随分と暗くなってしまったその空で、君たちの目の前でふわりと光が舞った。
少年
「あ。みて、ホタル」
目の前にきれいなホタルが河原から現れる。
少年「綺麗だね!」
小さく舞い上がるホタルの光を眺め、少年は君に向かって嬉しそうに言った。
ホタルを背景に、あなたたちは一緒に手を繋いで家路へと向かう。

神話現象的な描写が好きなKP、あるいはあまりに神話的な現象も起きず、真相がまったく分からないことを不安がるPLに向けて<聞き耳>成功などで、以下の描写を足してもよい。実際はしなくても問題はないです。

描写例:

<聞き耳>成功
「とても素敵な知識を披露してくれてありがとう」
「どうやら君は少し疲れているようだ」
「だからささやかな気分転換になっていると良いんだけども」
と少年が言うにはややいびつなセリフが彼の口からでたのが聞える。
あなたは振り返るものの、少年はにこにこと笑っているだけだった。
「どうしたの?おにいちゃん」

実際のテストプレイでは
「バスで寄宿先に帰る探索者と一緒にバス停で少年が待ち、その合間に描いた絵を探索者にプレゼントし、見送る」
とか
「実家の裏山にカブトムシを採りに行った探索者が、少年と一緒に帰る途中でホタルが舞うのを一緒に見た」
とか割とノスタルジックな描写をやりました。
自由に演出してください。

報酬など

正気度報酬

・共通報酬
「まったりと休日を過ごした」1d3

・少年と共に行動した場合さらに
「少年の宿題を手伝った!」1d3

そして、少年に見せた技能の分だけ回復をします。
基本回復量としては、
C 2d2 / 成功 1d3 / 失敗 1
とします。
ですが、本編中にも明記している通り、
回復させたい量によっては判定回数を増やしたり、成功したときの回復量を大きくしてかまいません。
(だいたい15前後回復することを想定に置いているが、具体的な量はKPとPLで相談して変えてよい)

技能成長

一番少年が感動したとおもう技能をひとつ 1d5成長できる
(少年の手伝いをしていない場合はなしで)

遭遇神話生物

イスの偉大なる種族(探索者が気づいてない場合は別に明記しなくてもいい、好きな人向け)

あとがき

少年の夏休みの手伝いをする探索者がみたい!という欲で書きました。
厳密にいうと「イス人が少年と精神交換をしたらおもろいかな〜」っていうノリで書きました。(イスの偉大なる種族は書いてるひとの推しです)
正気度に困っている探索者を癒やしたいという方はぜひ回してください。
公開までにテストしてくださった方もありがとうございます!

しゆうじ

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